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18/07/10●入院患者大量死事件で、元看護師が逮捕。背景に終末期医療の深刻な問題が!

77日、横浜の大口病院(現・横浜はじめ病院)で入院患者が次々に不審死を遂げた事件で、元看護師の久保木愛弓(31)が殺人の疑いで逮捕された。

 事件が起きたのは、20169月。この病院の4階病棟で、約3カ月の間に48人が死亡していたことが発覚し、大きな問題になった。事件当初から、久保木容疑者の名前が上がっていたが、容疑を固める2年以上かかったわけだ。

  彼女は「20人以上殺した。自分の勤務中に患者が亡くなると、家族に説明しなければいけない。それが面倒で苦手だった」と供述しているというが、それに対して、ワイドショーではお決まりの非難の言葉を浴びせている。犯行手口は簡単で、界面活性剤を患者の点滴液に入れただけ。これで、なんと、次々に患者を死亡させ、“手間”を省いていたことになる。

 たしかに、大量殺人事件であり、史上まれにみる事件だが、そのわりには、テレビではこの事件の背景、深層をあまり追及していない。

 そうすると、日本の終末期医療の問題が明るみに出て、収拾がつかなくなるからだ。

  大口病院は、いわゆる“看取り病院”で、死期が迫った患者を大量に引き受けていた。おそらく、退院の8割が死亡だろう。

 このような病院には、すでに死を待つだけの寝たきり患者が一定数いて、やがて死亡するとまた同じような患者が入ってきて---というシステムになっている。寝たきりだから、胃と体外をカテーテルでつなぎ、直接胃から栄養を摂取できるようにする「胃ろう」や静脈にカテーテルを通して栄養を送る「IVH」などの方法で、生きているというより生かされている。

 

 その費用の9割は税金による保険適用で病院に入り、残り1割を患者側が負担する。つまり、家族は入院させておけば年金でおつりが来る。

 となると、いくら不審死といっても、事件化すのは難しい。死は病院と家族の暗黙の了解の下だからだ。

「看護師のくせに人を殺すなんて……」「極刑にしろ」などの声が溢れているが、医療現場のことをなに知らない若い人たちが、こんな表面的な書き込みをするのだろう。たしかん、殺人事件は札事件だが、その向こうには解決できない何百万人の終末期老人がいる。
 
 
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